Another Day – Paul McCartney
composed by Paul McCartney ©1971 MPL Communications Inc.
毎朝 彼女はシャワーを浴び
濡れ髪のままタオルを纏い
寝室の椅子へと向かう
それがごくありふれた日常
1971年2月19日にリリースされたポール・マッカートニーのシングルA面。彼にとってソロでの初めてのシングル盤である。
前年の1970年4月。アルバム「マッカートニー」を発表してビートルズを脱退しソロキャリアをスタートさせたポールだったが、このアルバムの前後にシングル盤は作られなかった。
2作目のアルバム「ラム」のレコーディングセッション中にこの曲を録音し、シングルとして発売した。
4トラックのステューダーで素朴に製作されたファーストアルバムの曲と違って、トラック数の多い凝ったアレンジになっている。
この時期の彼の曲はどこか牧歌的で、長年の伴侶ジョン・レノンが好んだビートの効いたロックンロールとは完全にかけ離れていた。
ビートルズ解散直後のこの時期、ジョンとポールの仲は非常にギクシャクしていた。
ポールはこのシングルのおよそ3ヶ月後の5月29日にリリースしたアルバム「ラム」のいくつかの収録曲中で直接的ではないもののジョンを揶揄したと解釈されても仕方のない詞を書いた。
That was your first mistake
You took your lucky break and broke it in two
Now what can be done for you ?
You broke it in twoそれは君の最初の誤ち
幸運を掴んだというのに ぶち壊しにしてしまった
今さら何ができる?
君が真っ二つにしたんだ–Too Many People
When I thought you was my friend
But you let me down
Put my heart around the bend君を友人だと思っていたけど
失望させられた
僕の心はねじ曲げられた–3 Legs
I hope you never know, dear boy, how much you missed
Even when you fall in love, dear boy, it won’t be half as good as this君は失ったものの大きさに気が付かないだろうな
恋に落ちたとしても これの半分も満たされないんだよ–Dear Boy
ジョンはショックを受けたのかもしれない。
「ラム」の4ヶ月後の9月9日にリリースしたアルバム「イマジン」に収録された「眠れるかい? (How Do You Sleep)」で、彼は辛辣な言葉を並べ立てて直接ポールを攻撃した。
So “Sgt. Pepper" took you by surprise.
ペッパー軍曹にはさぞ驚いただろ?
(ビートルズの最高傑作とされたアルバム「サージェント・ペパーズ~」はポールのアイデアからスタートした。「思った以上に評判が良くてびっくりしたんだろ?」という皮肉)Those freaks was right when they said you was dead.
彼らは「君が死んだ」と言った。それは正しかった。
(アルバム「アビー・ロード」発売時に「ポール・マッカートニー死亡説」が流れた。それに引っ掛けた一節)The sound you make is muzak to my ears
You must have learned something in all those years
君の作る音は退屈なBGM
あれだけ長いことやってりゃ なにか学べただろうに–How Do You Sleep ?
タイトルの"How Do You Sleep ?"は、目が大きいポールに「(そんな大きな目で)どうやって寝るんだい?」という彼に対する昔からのからかい言葉だった。
ポールと違ってオブラートに包まずにぶちまけるところがジョンらしいといえばらしい。
この曲中、
The only thing you’ve done was yesterday
And since you’ve gone you just another day君がやり遂げたのは「イエスタデイ」だけさ
行ってしまった君はただの"「アナザー・デイ」"
と、名曲「イエスタデイ」と対比させる形でこの「アナザー・デイ」が登場する。
ジョンにとってポールのこういう「場末じみたポップンロール」は聴くに値しない、嘲笑の対象でしかなかったのだろう。
もっとも彼は後年になって
「あの曲はポールを攻撃するために作ったつもりだったけど、できあがったら『これは僕のことなんじゃないか?』って思えたんだ。ポールを攻撃するつもりが結果的に自分を攻撃することになっちゃったんだね。ポールを攻撃する曲だと思われて残念だ」
と、苦しい言い訳をしている。
ポールはポールで
「ジョンがあの曲を発表しても僕は反撃せず無視することにした。結果的にそれでよかったと思ってるよ」
などと、そもそものきっかけが自分の曲であったことを棚に上げて善人面をするという相変わらずの"Mother’s eye"ぶり。
やっぱりいいコンビだ。このふたりは。
My Recording Data
Environment
HostApple iMac MC509J/A
ApplicationApple Logic Pro 10.1.1
Audio I/FRoland UA-55
Tr.1 :: Drums 1
- Drum Kit (Logic)
- Channel EQ > Compressor > Limiter
- メインパート
Tr.2 :: Drums 2
- KONTAKT 5 – ABBEY ROAD 60S DRUMMER
- Channel EQ > Space D > Limiter
- ハイハットのオーバーダブ
Tr.3 :: Percussion
- exs24 – Percussion Kit
Tr.4 :: Bass
- Rickenbacker 4001 C64 (mix full)
- Guitar Rig > Multi Pressor > Channel EQ > Limiter
Tr.5 :: A.Guitar 1
- YAMAHA FG-520 TBS
- Channel EQ > Limiter
- メインのバッキング
Tr.6 :: A.Guitar 2
- YAMAHA FG-520 TBS
- Channel EQ > Limiter
- 部分的にアクセント付け
Tr.7 :: E.Guitar 1
- Epiphone Elitist CASINO (front full)
- Guitar Rig
Tr.8 :: E.Guitar 2
- Epiphone Elitist CASINO (front full)
- Guitar Rig
Tr.9 :: Keyboard
- ES2 (Logic)
- Phaser > Channel EQ
Tr.10 :: SE
- Lobby Conversation (iLife SE)
- 2回目の”So sad …”の前に挿入されてる街の雑踏みたいな音
Tr.11 :: Vocal 1
- Channel EQ (to Bus 1 : Channel EQ > Compressor > Limiter > Space D > ADT)
Tr.12 :: Vocal 2
- Vocal Transform (to Bus 1 : Channel EQ > Compressor > Limiter > Space D > ADT)
- ”At the office …"からダブルトラック。フォルマント上げて声色をちょっとだけ変えた。
Tr.13 :: Chorus 1
- Channel EQ > Compressor > Noise Gate > Space D > ADT
- 男声パートのコーラス・その1
Tr.14 :: Chorus 2
- Channel EQ > Compressor > Noise Gate > Ensemble > Space D > ADT
- 男声パートのコーラス・その2
Tr.15 :: Chorus 3
- Channel EQ > Noise Gate > Space D > Vocal Transformer > ADT
- 女声パートのコーラス
History
2015.03.24: version 1.0
Diary
- Another Day – Paul McCartney (2015/03/24)
- 宅録・Another Day 01 (2015/03/24)