宅録ビートルズ・2周目完走!

よもやま話,宅録日記,音楽の話


 

213曲

宅録ビートルズの2周目が全曲終わった。
僕にとっての「全曲」とは、彼らがデビューしてから解散するまでの期間にリリースされたレコードのうち

を除き、

  • シングルとアルバムでアレンジの異なるGet BackLet It Beのそれぞれのバージョン

を加えた211タイトル・213曲のこと。

1周目と同じくファーストアルバムのプリーズ・プリーズ・ミーからスタートしてアルバム順に録音していった。
10枚目のホワイト・アルバムで動画を作り始めたらこれが思った以上に楽しくて、それ以前の曲の分も作りたくなってしまった。だから半周以上オーバーランしたけど。
とにかく終わった。

1周目に要した時間は2年3ヶ月(2002年4月~2004年7月)。
もともとはデジタルレコーディングの練習として始めたことだった。
それまでカセットテープのマルチトラックで宅録してきたが、2000年頃には世間ではコンピューターを使ったハードディスクレコーディングが一般的になっていた。趣味であっても音楽を続けるならこの世界を勉強しなくちゃいけない。自作の曲とかもまた録音してみたい。でもそのためには道具(アプリケーション)を使いこなせるようにならなければ。
そんなことを考えていたDAW (Digital Audio Workstation)初心者の僕が練習素材としてビートルズを選んだのは「演奏もミックスも簡単そうだったから」。それだけ。
でも始めてしまったら当初の目的はどこへやら。いつのまにか「全曲やろう」という気になっていた。

全曲やり遂げたことには満足したし、奇跡的に上手く仕上がった曲もあったけれども、全体のレベルとしてはイマイチ中途半端だった。
当時のPCのオーデオ処理技術云々以前に僕自身の音に対する感覚や演奏・ミキシングの技量が今よりも全然未熟だったからだ(別に今だって成熟してるわけじゃない)。

1周目が終わった2年後の2006年にデータを保管していたHDDがクラッシュしてファイルが全て消滅してしまったことと、2010年に発売されたNative Instrumentsのドラム音源に惚れたことが2周目に取り掛かった動機だった。

もう一回、ちゃんと作りなおそう。
焦らず納得できるまでじっくりやろう。

そう思って2010年8月から取り掛かった「2周目」は音源の完成まで5年(~2015年7月)、動画を揃えるまで7年(~2017年5月)。途中録音しなかった時期もあるので純粋にこれだけの時間を要したわけではないけれど、結果を焦って突っ走り気味だった1周目と違ってじっくり取り組んできたつもり。
サンプラーの音は1周目やってた2002年に比べると格段に良くなってるし、生楽器の録音、ミキシングの勘所も素人ながらもだんだんわかってきて、もちろん本家には到底及ばないんだけど、今回はそれなりのクオリティで仕上げられたと思ってる。
 

歌入れしない理由

僕の音源はカラオケだ。
「歌は入れないの?」とたまに聞かれる。
僕がビートルズの宅録で歌を入れないのには理由がある。

メロディーラインは曲でいちばん大切なパート。
これを僕自身がやってしまうと、仕上がったものは「僕のもの」になってしまう。
逆に言えば、バックトラックを誰が作ろうが、歌ってしまえばそれは「歌ってくれた人のもの」になる。
一番大切なパートだから、貴重な時間を割いて僕の音源を聴いてくれる人に託したい。
歌ってもらいたい。その方がきっと楽しんでもらえる。

だから自分の声は入れない。

まぁその分製作に掛かる時間が少なくなるというもの確かではある。
 

名刺代わり

1周目の音源はブロードバンド黎明期とダブったこともあってインターネットを通じてたくさんの人たちに聴いてもらえた。サイトに掲示板を設置してあれこれ書いてもらったり、個別にメールを頂いたりしたこともあった。CDに焼いてジャケットも印刷してパッケージにして配布したりもしていた。
2周目に取り掛かった2010年はmixi、twitter、facebook、youtubeといったSNSが発達していたおかげで、1周目の時よりも広い範囲で多くの人とやりとりさせてもらうことができた。中には実際にお会いして、一緒に音を出すところまでいってしまったこともあった。

そんな時、この音源は僕にとってはちょっとした名刺代わりになってくれた。
それに長い間音楽やバンド的には完全に引き篭もりだった僕が再び人前で演ってみようと思い始めるきっかけにもなった。
僕の宅録はゴールデンサンプルの寄せ集めなので実際に生で音を出したら「なんだこんなもんか話が違うじゃん」みたいな風に思われたかもしれないけど。でも本当に久し振りに外に出てそれまで知らなかった人たちと一緒に音楽を演れるようになったのは収穫だった。そんな中で人生最高の出会いもあったし、逆に中傷を喰らって嫌な思いもしたこともあったっけ。まぁこの辺はバランス。いいことばかりあるわけがない。

聴いてくれた人、コメントとかで反応してくれた人。
ありがとうございました。

とは言っても僕の「宅録ビートルズ」がこれでおしまいってわけじゃない。
213曲以外にも好きで演ってみたい曲はいくつかあるし、これまで仕上げたもののを手直ししたりもするだろう。
でも「イチからまるまる」はもう絶対やらない(笑)。

 

遺言

ビートルズの完全コピーを目指して録音している人は、この世界に数万人はいると思う。
その中でアルバム1枚まるまるコピーした人も数千人はいるだろう。
100曲以上となると数百人。
全曲制覇した強者も数十人いるかもしれない。
でも、全曲「動く画」付きのコンテンツを作ったのは今のところ世界で僕だけだと思う。
歌は入ってないけどね。

僕の通夜か告別式にはこれ流してもらおうかな。

↓↓↓↓ 宅録ビートルズ全曲再生リスト ↓↓↓↓

というわけで、これは遺言だ。
息子よ、頼んだぞ。