ゴッホ 最期の手紙

よもやま話,映画の話

2016年3月某日。
「全編が動く油絵」…にわかに信じがたい宣伝文句とともこの映画のプロジェクトのことを知った。
まさかそんなことがと思い予告編を見て愕然とした。

なにこれすごすぎる。

最後まで完成させることができるんだろうか。
日本で公開してくれるんだろうか。

それから1年半。
11月に日本での公開が決まった。

最終的に描かれた画は62,450枚なんだそうだ。
12fpsなので≒5,204秒≒87分
フルアニメーションは24fpsなので分解能は1/2なのだが、逆にその若干ギクシャクした感じがまた雰囲気があって良い。

普通のセルアニメは動かしているのは前景のみで背景は固定。だから画面全部を都度描いてるわけじゃない。でもこの作品は「キャンバスに描かれた油絵」。ってことは全フレーム全画面描いてるってことなのか…だとしたら途方もない作業時間だ。

こりゃ是が非でも観に行かなくちゃとひとり盛り上がった。

劇場チェックすると…うーん、浜松ではやってない。
悶々としている時にたまたま帰省の機を得たので、東京の映画館で鑑賞することにした。
終わっちゃう前でよかった…。

僕はゴッホのバックストーリーはあまり知らないので「あなた誰?」という登場人物が多かったけど、そんな浅い知識の僕でも没頭できる話だった。
なにより画面がすごい。「動く油絵」の映像は想像以上に圧巻だ。

ところが悲しいもんで、しばらく見てるとその衝撃の画面にも慣れてきてしまう。

前述した「全フレーム全画面」ってわけでもないみたい。セルアニメと同じく前景だけが動いていて背景が固定されているように見える箇所が多かった。前景の人物の際に青か緑の線が見えているので、クロマキー合成を使ったんじゃないかと思われる。
あと回想シーンは主に白黒画面なのだが、これが実に滑らか。ここは実写なのかと思ったら水彩画とのことで。あくまでも「絵画」で構成してる。

動く油絵に慣れてきたところで白黒のカットが入って、また油絵に戻されて新鮮な衝撃が戻ってくる。
彼自身の絵画にも絡めてあって「ああこの作品が動くとこうなるのか」という体験ができるもの素晴らしい。

ほんとにすごかった。
画面に圧倒されてあまりストーリーは追えなかったかも。

ゴッホという人物や絵に関する知識がもっとあったらもっと楽しめたんじゃないかな。
上野のゴッホ展も終わる前に観に行かねば。
年末年始でなんとか時間作ろう。
その時にまだ上映してたらもう1回観たいなぁ。

そう思えるくらい印象的だった。