SPACE BATTLESHIP ヤマト

よもやま話,映画の話

久しぶりだな ヤマトの諸君 また会えて光栄の至りだ

#本文中に映画のストーリーに関する記述がバンバン出てきます。知りたくない人は読まないよーに。

205-1観たい観たいと思いつつ結局映画館では観れなかったこの作品。たまたま乗ることになった飛行機の機内エンターテインメントで上映されていたのでそこで鑑賞。CATHAY PACIFICだったので中国語の字幕付き。

ヤマト、というと個人的に黙ってはいられない。1969年生まれの自分にとってはまさにドンズバでリアルタイムに楽しんだ世代だし、東映動画に勤めていた両親がこの作品の製作に動画・原画で参加していたとあっては思い入れも人一倍なのだよ。ヤマトの諸君。

でもね。面白かった。BGMに流れる宮川泰さんの名曲の数々が昔の記憶を呼び起こしてくれる。
ヤマトの出発シーン、最初の波動砲で超巨大ミサイルを破壊するシーン(原作ではあの超巨大ミサイルは波動砲ではなく主砲で破壊した)、その黒煙からヤマトが現れるシーンなどは鳥肌もの。話の流れやキャラの心情移動などはちょっと強引な感じがしないでもない。ここは原作を知っているかいないかでかなり印象が変わってくると思う。

30年前に「宇宙戦艦ヤマト」を夢中で観た人は間違いなく楽しめる作品だと思う。逆にこれが初めての「ヤマト」という人には「はぁ?」っていう場面が多いかもしれない。

全体的に興奮気味で観ていたのだが、最後の最後で一気に興ざめしてしまった。
30年の思いのすべてをブチ壊したもの。それは…エンドロールのバックに流れる歌だ。

なにこれ?なんでこんな曲流すの?誰のセンス?

本編であれだけ宮川さんの曲を使ったんだから、最後は当然ささきいさおさんの「宇宙戦艦ヤマト」と「真っ赤なスカーフ」だろーが !!

物語

基本的にガミラスとの戦いを描いたシリーズ第一作を基にしているが、キャラクターの台詞や地球帰還直前の展開は2作目の「さらば宇宙戦艦ヤマト」的なものもある。原作との物語上の違いは次の通り。

  • 古代守が戦死する火星空域での戦いに森雪、真田、徳川、相原といったヤマトの主要クルーが参戦している。
  • イスカンダルからのカプセルはサーシャが持ち込もうとするのではなく、単品で地球に送られてくる。
  • カプセルの発見者は古代進ただひとり。古代は「訓練生」ではなく「退役軍人」という設定になっている。
  • イスカンダルからのカプセルに記録されていたのは波動エンジンの設計図ととある惑星の座標のみ。スターシャからのメッセージは入っていない。
  • 途中の戦いはかなり少ない。木星の浮遊大陸、バラン星、七色星団といった有名どころの戦いも描かれていない。
  • イスカンダルとガミラスは二連星ではなく1つの惑星内に存在する2つの主張(精神)。
  • イスカンダルとガミラスに生きる有機生命体は人の姿をしていない。クリスタルのような光で描写されている
  • ガミラス本星の中心部を白兵戦で叩くというやり方は1作目よりもむしろ2作目の「都市帝国」の破壊シーンをモチーフにしている。ここでの戦死する真田と斉藤の台詞
    「古代、俺はお前をずっと弟のように思っていたぞ (真田)」
    「技師長!慌てず急いで正確にな!(斉藤)」
    「隊長、ありがとう (真田)」
    や、斉藤の仁王立ちはすべてこの「都市帝国」の中心部破壊時のシナリオの描写になっている。

  • 放射能除去装置は機械的な「装置」として存在するのではなく「能力」として人に植え付けられる。地球でカプセルを拾った古代はカプセルに触れた時点でその能力を身につけていた。イスカンダル(と呼ばれるもの)から森雪がその能力を受け取り、彼女自身が「放射能除去装置」として地球を救う役目を担うことになった。
  • 地球帰還直前にデスラー艦がガミラスの残党を率いて攻撃を仕掛けてきた時に沖田艦長はまだ生きていた。本作でも最後にガミラス残党との戦いがあるが沖田は既に死んでいる。攻撃を仕掛けてくるのはデスラー艦ではなく巨大ミサイルになっている。
  • この「巨大ミサイル」との戦いで「さらば宇宙戦艦ヤマト」の「都市帝国〜超巨大戦艦」のように多くの戦士が命を落とす。徳川機関長の最後の台詞「波動エンジン出力低下。しかし…航行に…支障…無し…」というのは「さらば」のもの。
  • 古代は生存者全員を退艦させ、このミサイルを破壊するためにひとりヤマトに残り特攻する。これは「さらば」で超巨大戦艦を破壊した場面を基にしている。

キャスト

設定が大きく変わった人物もおり賛否様々あるだろうが…とにかくかなりの豪華キャストである。

原作のイメージに近かった

  • 沖田十三 (山崎 努)
    「佐渡先生 しばらくわしをひとりにしてはくれまいか」
    「佐渡先生 ありがとう」
    「地球か なにもかもみな懐かしい」
    等の台詞は沁みる。
  • 古代守 (堤 真一)
    優しく真面目な感じがいかにも。
  • 真田志郎 (柳葉 敏郎)
    「古代!」って呼び方が青野さんを彷彿とさせた。髪型もGood。
  • 徳川彦左衛門 (西田 敏行)
    徳川機関長にしてはちょっとにこやかすぎるかもしれないが、イメージとしてはありかと。
  • 藤堂平九郎 (橋爪 功)
    「長官」。体型、顔ともに違和感無かった。
  • 齊藤始 (池内 博之)
    シリーズ2作目「さらば宇宙戦艦ヤマト」のキャラクターで1作目には登場しない。原作に比べるとハンサムでカッコいい男になっていた。
  • 山本明 (斉藤 工)
    片目にかかる長い髪が特徴のブラックタイガー隊員。原作では加藤に次ぐBT隊のNo.2で、太陽系内の戦いでワープ直前に被弾してギリギリで着艦したのは彼だった。本作ではガミラス星での最終決戦で古代のコスモゼロの盾になって戦死。この時コクピットから「山本!」と叫ぶ古代に向かって笑顔で敬礼しながら墜ちていく…というのは原作では「さらば宇宙戦艦ヤマト」での都市帝国戦でのシーンを再現したものである。

ちょっとイメージが違うけどまぁアリかな?

  • 古代進 (木村 拓哉)
    話し方がつっけんどんな「キムタク」風だが、そんなに鼻につかなかったし。こういう古代もいいかな。
  • 島大介 (緒形 直人)
    ちょっと表情が豊かすぎかもww。もうちょっと活躍して欲しかったなぁ。
  • 森雪 (黒木 メイサ)
    最も重要なキャラのひとりなのに今回最も扱いが変わったキャラといえるのがこの森雪。この決断は相当勇気が必要だったに違いない。だって「あの」森雪が「ブラックタイガーのエース」だよ?ホントにどうなっちゃうんだろう…
    と観る前は思ったが。
    この映画に鼻声で「古代ク〜ン」っていうキャラクターはあまりに似合わないだろうし。そうなると彼女の立ち位置としてはちょっと飛躍しすぎとはいえここで良かったのかもしれない。もし「古代ク〜ン」を演るのであれば黒木さんじゃなくてさとう珠緒さんがキャスティングされたであろう。
  • 相原義一 (マイコ)
    女性になっちまったか…でもまぁいいかって範囲のシナリオ。

おいおいこれはないんじゃない?

最後まで違和感が抜けなかったキャラ達。

  • 加藤三郎 (波岡 一喜)
    そんな不良みたいな口のききかた、およしなさい。加藤はもっと真面目な青年だ。
  • 南部康雄 (矢柴 俊博)
    ちょっと弱々しすぎじゃないか?南部はもっと強い男だ。
  • 佐渡酒造 (高島 礼子)
    沖田艦長にすら説教する佐渡先生が普通の人になっちまった。
  • デスラー総統 (声:伊武 雅刀)
    伊武さんなのは感動的だったんだけど…基本的な設定がちょっと。
  • アナライザー (声:緒方 賢一)
    声は最高。でも強すぎでしょww。

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