ビグスビーのアップグレード:Epiphone Elitist CASINO

Bigsby B7の問題点

ビグスビー付きのギターは見た目がゴージャスだ。装着するギターによって似合う・似合わないはあるが、僕としてはCASINOにはビグスビーが付いていてほしい。Gretschのギターには必須。ES-335系は付いていてもいなくてもいい…という感じ。

今所有しているギターでビグスビーが付いているのはEpiphone Elitist CASINOGretsch G6120T。CASINOにはテンションバーがあるB7。G6120TにはB3のロングタイプのB6。

見た目はいいんだけど、共通する問題がふたつ。

ひとつはチューニングが安定しないこと。
ビブラートをかけた後でブリッジが完全に元の位置に戻りきらないことがある。これは構造上どうしようもないので、ダウンさせた後の戻りをスプリングだけに任せずに自分でアップの動作を入れるといった奏法でカバーするしかない。厄介なのはテンションバーでの弦の掛かりの状態が微妙に変わってしまうこと。これを奏法では回避するのは難しい。

もうひとつは弦交換が煩わしいこと。
ブリッジのピンに弦のポールピースを引っ掛けてブリッジ後方へぐるりと回した後にヘッドに向かって弦を張るんだが、テンションを掛ける前にポールピースが容易にピンから外れてしまう。ブリッジを巻き込むときに外れ、ネック側に引っ張るときに外れ、ペグに通すときに外れ、ペグを回しているときに外れ…とにかく外れまくるのだ。外れないための工夫の定番は「ピンとボディーの間にクロスを挟んで抜け止め」。確かに外れにくくはなるんだけどそれでも外れることがある。特にB7はテンションバーの下をくぐらせないといけないので、この時もまた外れる。
もうかなりイライラする。
「慣れればできる」んだけど、こんな煩わしい作業に慣れたくはない。

ストリングスルー

何を探していた時だったかわすれたが、たまたまネット上で見つけたのがこれらの部品

CALLAHAM Front Roller Upgrade Kit for Bigsby B5 and B7 units
CALLAHAM Upgraded Main String Shaft for Bigsby Vibratos

前者はB7のフロントローラーに弦ガイドの溝がついたもの。弦を溝に収めることで左右のズレを防ぎ、溝内での滑りを良くしてチューニングを安定させることができるという部品。

後者は弦を穴に通すことで弦交換を容易にするというもの。穴通しなら普通のギターと同じ要領で弦の交換ができるはず。期待大だ。

ともにサウンドハウスで9,780円。

必要な工具

サウンドハウスのサイトに紹介記事があったので部品が届くまでの間に作業の予習。弦もダメになるだろうからついでに弦も購入。この前張り替えたばかりなのに…でもリチャードココを試してみたいと思っていたから、まぁいいか。

部品は発注した翌日には届いた。

必要な工具は次の通り

  • ドライバー
    通常のナンバー0。ボディートップに固定されている2本のねじ用
  • 六角レンチ
    2mmと3mm。2mmはテンションバーのいもねじ用。3mmはブリッジのいもねじ用
  • ラジオペンチまたはニッパー
    ブリッジに付いているピンを抜くため
  • 金属ヤスリ
    非常事態発生時の対応用(後述・うまく作業できれば不要)

交換作業

  1. ビグスビーを固定しているねじのうち、ボディートップの2本を外す。
    本体から完全に分離するならエンドピンのねじも外す。でも外さなくても作業はできるので僕は外さなかった。
  2. 2mmの六角レンチでテンションバーのいもねじを外す。
    これがめちゃくちゃトルクが高い。レンチが折れるんじゃないかくらい高かった。
  3. いもねじを外すとテンションバーの中のシャフトが抜ける。シャフトを抜くとテンションバーをビグスビー本体から分離できる。
  4. CALLAHAM Front Roller Upgrade Kit for Bigsby B5 and B7 unitsを取り付ける。
    こちらは可逆交換。うまくできなかったら元に戻せる。
  5. 弦のガイド溝が6本あるが全て同じ幅寸法なので無方向。
  6. で、ここで問題発生。
    購入した部品に付属していたシャフト径がビグスビーの穴よりも大きくて差し込めないのだ(鋳造品は寸法許容差が大きいので個体差だと思う)。仕方がないのでシャフトは元々テンションバーに付いていたものを使った。シャフトと交換部品の間に多少ガタが出てしまうが仕方ない。
    こっちは交換前のシャフトが流用できるからいいけど、ブリッジ側で寸法が合わなかったらどうしよう…
  7. テンションバーのいもねじを締め込む。ねじをシャフトに当てて止めているだけなので、シャフトが動かないように多少トルクを掛けて気味にしておいた方がいい。
  8. CALLAHAM Upgraded Main String Shaft for Bigsby Vibratosを取り付ける。
    こちらは不可逆交換。ピン抜き工程に入ってしまったらもう引き返せない。
  9. 3mmの六角レンチでブリッジ側のいもねじを外す。
  10. ブリッジバーをビグスビー本体から抜くために、バーに取り付いている6本のピンを外す。
    ラジペンかニッパーで左右に回しながら引き抜くと抜ける…らしいのだが
  11. ここで大事故発生。ピンがなかなか抜けないので恐る恐るながら力を入れていったらなんとピンが折れてしまった。こうなるともうどうしようもないので金属ヤスリでピンを削る(意外と簡単に削れる)
  12. ブリッジを本体から抜く。本体との摺動部分に潤滑用の機械油がたっぷり塗られていて抜き取ると手にべったり付くので注意。
  13. 交換部品をビグスビー本体に装着。軸径が心配だったけど大丈夫だった。ガタもなくていい感じ。
    こちらはいもねじ用の穴をトレモロレバーの穴と合わせないといけないので方向あり。
  14. いもねじを締める。こちらは通常のトルクでOK.
  15. ボディー天面の2本のねじを締めて作業完了!

弦を張ってみる

無事交換が終わったので弦を張ってみた。

いやぁ素晴らしい!なんたる張りやすさ!
…というか「普通」になっただけか。これまでが異様に難しすぎただけ。

しかしこれであの弦交換の煩わしさから解放されると思うとただただ嬉しい。チューニングの安定云々は相変わらずといえば相変わらずで完全に解消されたってわけじゃないが、手は尽くしたので良くなったと思いたい。

ブリッジバーに巻かれる量が半周分減ったので理屈の上では振動伝達は落ちているはずなんだけど、そんなに気にならない。ポールエンドとの密着は安定したから差し引きゼロといったところだろうか。

というわけで、ビグスビーの弦交換に悩んでいる諸氏にはこの改造はおすすめしたい。ブリッジバーだけなら10,000円未満だし、作業も10分くらいしか掛からない。

Gretchのも次に弦を張り替える時に交換しようかな。

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