宅録ビートルズ・2周目 – SINGLE COLLECTION総括

宅録日記

 
2014年12月6日に着手して2015年7月19日に完成。
日数計算上は226日だが、宅録日記ナンバーは307~368なので録音に要した日数は62日ということになる。
かなりゆっくり作業していた。全くやらない期間も結構あった。

仕上がったので、振り返り。

 

さかのぼる

back2past
 
僕の宅録ビートルズはアルバム順。
ファーストアルバムからスタートしてシングルはすっ飛ばし、アルバム内では収録曲の順番通りに録音してきた。

すっ飛ばしてきたシングル版をやるにあたって今回は降順。つまりリリース時期の新しいものから始めて過去に遡る、というやり方をした。
いや、正確には降順ですらないか。
You Know My Nameは時間がかかってThe Ballad Of Jogn And YokoとOld Brown Shoeの方が先にできてしまったし、シングルのA面B面はどちらが先というきまりもなく作業してた。だから結果的には「順不同」だった。

ラストアルバム"LET IT BE"は我ながら音も映像もなかなかいいクオリティで仕上がったと思ってる。ここであえてアタマに戻るよりもLET IT BEに近いところから始めた方が音作りの勘所的な観点では効率的なんじゃないかと思ったのが降順にした理由のひとつではあるのだが、それ以上にネックというか、1963年に戻る自信がなかった所以がある。

それは「ギターの音」。
 

グレッチ

gretsch1963
 
2周目の録音を始めた時にはあまりこだわらなかったんだけど、あのグレッチの音を出すには今のセットだとちょっと無理がある気がした。カジノで代用するにしても弦はフラットワウンドにしないと近付けることができないんじゃないか…って。
シングル版が終わったらファーストアルバムに戻ってリミックスをしつつ動画を作ろうと画策していたので、もしここでうまくギターの音が作れたら昔録った初期の曲を一部再録したくなるかもしれず。それ考えても遡ってやった方が効率的なんじゃなかろうか、と考えた。

…というとなんか思慮があるような感じだが、そうじゃなくて。
めんどくさそうだから後回しにしただけ。

1965年までさかのぼって、Day Tripperでいよいよグレッチと対峙せねばならなくなった。
シングルコイルのストラトのブライトトーンをエキサイターで強調してみたがダメ。ディケイは短めなんだけどアタックが細い上にリリースタイムが長すぎ。
カジノにフラット弦を張ってみたがこれもダメ。音がクリーンすぎる。

どうしようもない。
やっぱグレッチの音はグレッチにしか出せないのか…。

でもグレッチのギターは昔からあまり好きじゃなかったから自分で買うつもりは全然なくて、ともみんあたりが貸してくれないだろうかという淡い期待を抱きつつ、録音作業は完全に止まってしまった。

ところがわからないもんで。
あれだけ毛嫌いしてたグレッチのギターの中で、テネシアンが突然心に響いた。
なんだこれ。かっこいいじゃん。
そんなテネシアン(テネシーローズ)のアウトレット品でかなりお値打ちで売られている1本に巡りあって。

買ってしまったよ。

早速Day Tripperのリフを弾いみた。
あれだけ音に悩んでたのに、一発で解消してしまった。

うん。これだ。間違いない。
 

自由なフォント

caption
 
本格的に動画作りを始めたWHITE ALBUMからLET IT BEまでタイトルと歌詞のテロップのフォントはアルバムごとで統一していた。今回はシングル版の寄せ集めなので統一することもないなと思い曲ごとにバラバラなフォントを使った。
あくまで主観だけど、できるだけ曲のイメージに近いものを選ぶ。楽しい作業ではあるしピタッとイメージ通りハマると「よっしゃ!」と思える反面、迷うことも多かった。
自由、といっても読みやすいフォントとなるとそんなに選択肢はなくて。結果的には偏ってたかも。

動画はLET IT BEで使い始めたクロマキー合成を多用した。セッティングは面倒なんだけど画的には格段に面白いものが作れる。楽しい。
 

新たな発見

今回の製作過程で気が付いたこと一覧。
僕なりの解釈なので、違うところはあるかもしれないけど。

  • From Me To Youのドラムはオープンリムショット気味な音。
  • From Me To Youのベース、最初はおとなしいんだけどBメロ行って帰ってきてから急に音数が増えてアクセントのある弾き方に変化してる。
  • Thank You Girlのベース、3回目のイントロフレーズの冒頭で音を揺らしてる。ミストーン?スライド?チョーキング?
  • Thank You Girlのドラムでキックの音量だけが急に上がる箇所がある。
  • She Loves Youのリズム刻みはシンバルじゃなくてハイハット。
  • I’ll Get Youのドラムは曲入り後第1小節2拍目のスネアが聞こえない。ミスショットではなく、あえてそうしたんだと思う。
  • I Want To Hold Your Handのリズムギターのフレーズはかなり歯切れがいいが音はクランチしててワイルドな感じ。
  • I Want To Hold Your Handのドラムのキメは3連符ではなく4つ鳴らすくらいのノリになってる。実際4つ鳴らしてるのかも。
  • I Want To Hold Your Handのドラム。Bメロ(And when I touch you~)のスネアはオープンリムだと思う。
  • This Boyのエレキだかエレアコだかのカッティングパターンは最初のDだけがちょっと変わった譜割りになってる。
  • Long Tall Sallyのエンディングのドラムは3連符の拍アタマにシンバルを入れながらスネアとタムを回すパターン。
  • I Call Your Nameの間奏は12弦ギターの4弦のハイポジションから弾きはじめないと原曲の音にならない。
  • Slow Downのピアノは2バース目の途中でコードを間違えて一旦ストップして1小節の空白の後に再開したものの次のブレークポイントをオーバーランするという酷い演奏。誰だこれ?
  • Matchboxのギターのうち1本は最初の2小節は6弦だがそれ以降は12弦が鳴っている。
  • I Feel Fineのフィードバックのトリガーはベースの3弦12Fハーモニクス。これにギターの5弦開放が共振してる。
  • I Feel Fineのベース。入ってすぐの2音目のDを空振りしてる。
  • She’s A Womanのイントロはギターだけだとなんか物足りなくてピアノ重ねたら近い音になった。原曲でも入ってるかも。
  • Bad Boyのリードは2本入っていてほぼユニゾンで動いているが間奏のアタマの部分は全然違うフレーズを弾いてる。
  • Yes It Isのリズムギターはガットギターだった。
  • I’m Downはパートごとにスイングの度合いが違う。ギターとベースはほぼイーブン。ドラムがややスイング気味でコンガは更にスイングしてる。
  • I’m Downのリードギター。間奏の入りで主旋律以外に上ハモ的なフレーズが鳴っているのがかすかに聴こえる。
  • Day Tripperのイントロのベース。昔聞いたレコードやCDでは2小節4拍目の裏から引っ掛けて入っていた記憶があるんだが、今リファレンスにしている最新版(iTunesの配信版)では3小節目の頭から入っている。
  • Day Tripperの間奏のバックに3本目のギターが入ってくる。各小節2拍目でスケールをひとつずつ上がるが、この1拍目にローコードでBを鳴らすとちょっとイイ感じになる。
  • Day Tripperの間奏の後の歌バックのギターリフ。レコードやCDでは音が一瞬不自然に潰される箇所があるが、最新版(iTunesの配信版)ではこれが目立たなくなっている。
  • We Can Work It Outのスネアはややリムショット気味。
  • Paperback Writerはクロマチックを外れている。A=430くらい。
  • Paperback Writerのアカペラコーラスは5パート。それぞれにADTが掛かっているのでもっと多い印象を受ける。
  • Paperback Writerのギターは単純なコードストロークじゃなくてちょっと細かく動いてる。
  • Paperback Writerのベースは定型化されてるようでされていない。結構自由。特に最終バースは面白い。
  • Rainはクロマチックを外れてる。若干フラットしたG。
  • Lady Madonnaのピアノはダブルトラック。ADTじゃなくて純粋に2トラック使ってる。と思う。
  • The Inner Light。シンコーミュージックのバンドスコアではインド楽器にまじってアコースティックギターが使われているかのような記述があるがそんなものは誰も弾いていない。実際はシタール。
  • Hey Judeでアクセント付けのために部分的に入るパート、スコアでは「ギター」と書かれているけど、エレピっぽい音に聞こえる。
  • Revolutionはクロマチックを外れておりレコードでは若干フラットしたBだが、オリジナルのPV見ると彼らはAで演奏してる。Revolution 1がAなので多分この曲もオリジナルはAでミキシングでテープの回転数をかなり上げたんだと思う。
  • Get Backのドラム、あらためてビデオ見てリンゴがどう叩いたのかわかった。4分アタマのアクセントを左手で叩いて裏拍は右手で2度打ち。なるほど。これであの独特のノリが出せるわけだ。アクセントを左で打ってるのはリンゴが左利きだからだと思う。
  • Get Backのジョージのギターは実はLes Paulだったのではなかろうか?ルーフトップのイメージが強いのでオールローズだという先入観があったけど、リリーステイクはスタジオ録音でしかも録音したのはDon’t Let Me Downと同じ日。で、Don’t Let Me Downのリードはレスポールっぽい。Get Backも同じギター使ってたんじゃないかな?
  • Don’t Let Me Downのリードギターにはアンプでやや深めのコーラスが掛かってる。
  • The Ballad Of John And Yokoのエレキは2本。ミックス上はL/R-chで分離してる。
  • Old Brown Shoeにアコギっぽい音が聴こえる。1990年代のジョージのライブ映像を見たらハイポジションでコード弾きしていたのでそれに倣った。
  • Old Brown Shoeのリフを弾いてるギターはレスリー通し。間奏はリフよりもオーバードライブが強い。
  • Let It Beのベーシックトラックはアルバム版と同一のはずなのにテンポが微妙に違ってる。テープデッキが違う?
  • Let It Be。3バース目の"Mother Mary comes to me"でピアノがミストーン。これはアルバム版も同じ。この部分でボーカルの旋律がちょっと変わるのは「しまった!」って思ったからかな?
  • You Know My Nameの第1セクションにギターが入ってる。
  • You Know My Nameの第2セクションのジャキジャキした音はマラカスの他にスコップで砂を杓ってる音も入ってるんだそうだ。

 

さて、お次は・・・

ない。

ビートルズが活動期間中に公式にリリースした曲は全部終わった。
2010年8月1日から始めたので、ちょうど5年間。

「全曲制覇2周目」はこれにて終了!がんばった!パチパチパチ。

ホワイトアルバムから始めた動画作りが楽しかったから全曲動画にしたいという欲望もあるんだけど…。
いかんいかん。んなことしてたらキリがないわ。