4人のキャラクターを使って200曲以上にも及ぶMVを効率よく作るためにはどういう進め方をすればよいだろう?
これまで自分なりの考えを持っていたが、それが正しいのかをAIに聞いたうえで作業工程表を練ることにした。
AIはGoogle Gemini。提示した条件は下記の通り。
- ツールはBlender
- リグはAutoRigPro
- フェイシャルはFacemotion3D
- キャラクターのシェイプは人型で3頭身
- キャラクターのポリゴン数は10,000程度
- 仕上がりはセルルック
- 4人作る必要がある
- ひとりだけ背が少し低い
- 他の3人は同じ身長
- 体は共通で顔だけ分ける
- 背が低い人の体は基本モデルを縮小して作る
- 衣服はTRIPOなどのAIに作らせたものをエクスポートしてラティスで調整して使う
- 衣装は共通の物が多いので1回作って使いまわしたい
- 髪の毛の違いと髭の有無によって年齢を表現する
- 髪は先端だけ揺れればいい
- 服は長物のコートや燕尾服の先端だけが揺れればいい
- 髪も服も処理を軽くするためにクロスシミュレーションを使いたい
- 髪や服が顔や体にめり込まないためのコリジョン設定は必要だが厳密でなくてもいい
- キャラクターを使った動画は200本以上作ることになる
- 歩く、走るといった基本動作の他に楽器演奏のアクションを使いまわしたい
- 基本動作はMixamoを活用したい
- 協働作業者はいない ひとりで全部やる
これらの条件で「使いまわしができるキャラクターの製作手順書」と「マスターファイルのコレクション構成表」を提示するよう依頼した。
目次
ビートルズ3頭身セルルックキャラ 効率制作&量産ワークフロー手順書
前提・制作方針
- 体型&トポロジー
- 3頭身
- 約10,000ポリゴン
- 4人全員で「共通の体(Body)」を使い回し、顔(Head)のみを差し替える。
- 背の低いメンバー1人は基本モデルを縮小(Scale調整)して対応。
- 衣装
- TRIPOで生成したモデルをベースにBlenderへインポートし、ラティス(Lattice)等で3頭身バランスに調整して共有使い回す。
- 物理演算
- 髪・長物コート・燕尾服は「根元はリグ追従(ウェイト1.0)、先端の数層の頂点のみクロスシミュレーション(簡易コリジョン)」で軽量化。
- アニメーション資産
- 200本以上の量産を見据え、基本動作はMixamo、楽器演奏等の共通アクションは一度作ったものを全キャラクターで使い回す(Retargeting)。
- フェイシャル
- Facemotion3Dによるリップシンク・トラッキングを前提としたセットアップ。
ステップ解説
STEP
マスターファイルの構築(ベース・衣装・リグの確立)
STEP
共通素体(Body)の作成
- 基本の頭部(
Head_Mesh)をモデリング。 - 瞳(
Eyeball_L、Eyeball_L)、歯(Teeth_upper、Teeth_lower)、舌(Tongue)は別モデルにする。 - 頭身・10,000ポリゴン程度のボディをモデリング。
- フルボディー(
Body_Weight_Master)はウェイト転送に使う。非表示コレクションに入れておく。 - 服から出る首、手、足首以外を削除した共通ボディ(
Body_Common)を用意する。
STEP
TRIPO等を活用した共通衣装の作成と調整
- TRIPOでベースとなる衣装を生成・エクスポートする。
- Blenderにインポートし、3頭身の体型に合わせてラティス(Lattice)変形でプロポーションを調整する。
- 共通で使い回すため、パーツごとに綺麗に統合・整理しておく。
STEP
Auto-Rig Pro(ARP)によるリギングとフェイシャル設定
- 共通ボディに対し、Auto-Rig Proの Smart機能を使ってリファレンスボーンを配置。
- 将来の大量アニメーション量産を見据え、コントロールリグの軸やネーミングルールを完全に統一しておく。
- Facemotion3D連携を見据え、顔のフェイシャル(形状キー / ボーン)の基本構造をここで完全に構築する。
STEP
ハイブリッド方式の揺れ物設定(髪・コート・スーツ)
- 長物のコートやスーツ、髪の毛の「先端部分」に限定してピン留め用の頂点グループを作成する。
- モディファイアのスタック順を必ず
①アーマチュア ➔ ②クロスシミュレーションの順にする。 - 貫通防止用の簡易コリジョン(Collision)を体や太ももに設定する。
STEP
顔(Head)の作り分けと4人への展開
メンバーの個性を出すため「体は完全に共通、顔と髪型・髭で差別化」を図る。
STEP
マスターファイルの複製
- 共通ベース・リグ・衣装が揃った状態をマスターとし、4人分のファイルに分割する。
STEP
顔の形状と髪型・髭のモデリング
- 各ファイルの頭部(
Head_Mesh)をいじり、それぞれの顔立ちに調整。 - リンゴ(他の3人より背が低い)のファイルは、体全体のオブジェクト(Body & 衣装)をまとめて縮小スケールを適用(Apply Scale)しておく。
- 年代やトレードマークを表現する髪型(先端クロス設定済み)や髭を配置する。
STEP
フェイシャル・リグの適合
- ARPの
Edit Reference Bonesで目や口の位置を微調整し、Match to Rigを実行。
STEP
Mixamoおよび外部アニメーションの流用(リターゲティング体制)
200本以上の動画を1人で量産するため、アニメーションはゼロから手付けせず、「共通リグ間のアクション流用(リターゲティング)」を徹底する。
STEP
基本動作の取り込み(Mixamo)
- 歩く、走るなどの基本動作はMixamoからFBXでダウンロード。
- BlenderのAuto-Rig Pro付属のリターゲティング機能を使って、ビートルズの共通リグ(
char_rig)へと流し込む。
STEP
楽器演奏アクションの共有化
- ギター・ベース・ドラム演奏時のアクト(座り演奏、立ち弾きなど)は、一度自分で簡易的に付けるか流用して「アクション(Action)」としてBlender内に保存しておく。
- 4人のキャラクターファイル間でアクションを共有(AppendまたはLibray Override)し、誰にでも同じ演奏モーションを即座に適用できるようにする。
動画量産に向けた効率化のコツ(ワンオペの知恵)
- リンク(Link)またはコレクションインスタンスの活用
背景やカメラワークが共通の動画を作る場合、キャラクターファイルをアセットとしてリンク(Link)配置することで、モーション修正が全動画に一括反映される仕組みを作ると爆速で量産できます。 - クロスのキャッシュ(Bake)の割り切り
先端クロスはプレビューが重くなりがちなので、カメラワークと大まかな動きを確認したあと、本番レンダリング前のみディスクキャッシュをベイクするフローを固定化します。
コレクション構成図
📦 [CH_Beatles_Master] (シーンコレクション直下)
│
├── ⚙️ [00_System]
│ └── 🦴 char_rig (Auto-Rig Pro コントロールリグ本体)
│
├── 👤 [01_Base_Mesh]
│ ├── 📐 Body_Common (共通の3頭身ボディ:露出部分/ベース素体)
│ ├── 📐 Head_Mesh (顔・耳・まぶた・鼻などの皮膚本体)
│ ├── 📐 Eye_L (左目メッシュ)
│ ├── 📐 Eye_R (右目メッシュ)
│ ├── 📐 Teeth_Upper (上の歯)
│ ├── 📐 Teeth_Lower (下の歯)
│ └── 📐 Tongue (舌メッシュ)
│
├── 👗 [02_Outfits] (共通衣装コレクション:TRIPOで作成し3頭身化済み)
│ ├── 📁 [Cloth_Suit_EdSullivan] (エド・サリヴァン・ショー風スーツ)
│ ├── 📁 [Cloth_SheaStadium] (シェア・スタジアム風ジャケット)
│ ├── 📁 [Cloth_AbbeyRoad] (アビーロード風私服セット)
│ ├── 📁 [Cloth_SgtPepper] (サージェント・ペパーズ衣装)
│ └── 📁 [Cloth_Tailcoat] (燕尾服:裾の先端クロス設定済み)
│
├── 💈 [03_Hair_And_Beard] (年代・個人別の髪型・ヒゲ)
│ ├── 📐 Hair_MopTop (初期モップトップ髪:先端クロス設定済み)
│ ├── 📐 Hair_Late60s (後期ロング髪:先端クロス設定済み)
│ └── 📐 Beard_Set (ヒゲパーツ:メンバーや年代に応じて表示)
│
├── 🎸 [04_Instruments] (演奏アクション流用・固定用の楽器類)
│ ├── 📐 Guitar_Rickenbacker (ジョン用)
│ ├── 📐 Bass_Hofner (ポール用)
│ ├── 📐 Guitar_Gretsch (ジョージ用)
│ └── 🥁 Drum_Kit_Ringo (リング用ドラムセット)
│
└── 📦 [99_Backup_Hidden] (作業・修正用バックアップ:非表示)
├── 📐 Body_Weight_Master (衣装へのウェイト転送元となる全身素体)
└── 📐 TRIPO_Raw_Import (TRIPOから読み込んだ調整前の原点メッシュ)
⚙️ [00_System] (システム・制御系)
- 役割
- キャラクターを動かすための「骨組み(ARPリグ)」や「変形用ギミック」を格納します。
- 運用ポイント
- 200本以上の動画を作る際、このコレクション内にある
char_rigのデータ構造や骨のネーミング(コントロール軸)は絶対に固定します。Mixamoからのリターゲティングや演奏アクションの流用がスムーズに行えるようになります。
- 200本以上の動画を作る際、このコレクション内にある
👤 [01_Base_Mesh] (基本素体系)
- 役割:
- 共通のボディ(
Body_Common)と、各キャラ固有の顔(Head_Mesh)を格納します。
- 共通のボディ(
- 運用ポイント:
- 体
- 4人共通の10,000ポリゴン(セルルック用)。リング(背が低い)を作成する際のみ、ファイル複製後にこの
Body_Common(および服)のスケール(Z軸等)を縮小します。
- 4人共通の10,000ポリゴン(セルルック用)。リング(背が低い)を作成する際のみ、ファイル複製後にこの
- 顔
- Facemotion3Dでトラッキングするためのシェイプキーやボーン構造を保持させます。
- Auto-Rig Pro(ARP)でフェイシャルリグ(Facial)をセットアップする際、目(Eyes)と舌(Tongue)、さらには歯(Teeth)などのパーツは「
Head_Meshとは別オブジェクト(独立させた状態)」にしておくのがベストです。
- 体
👗 [02_Outfits] (共通衣装系)
- 役割
- TRIPOで生成し、ラティスで3頭身にデフォルメ調整した全衣装を格納します。
- 運用ポイント:
- 燕尾服やロングコートなど「裾が揺れる服」は、あらかじめ先端頂点クロス設定(ピン留めグラデーション)を済ませた状態で各サブフォルダに整理しておきます。
- 必要な衣装のみチェックを入れて表示(またはドライバーで切り替え)して使います。
💈 [03_Hair_And_Beard] (髪型・ヒゲ系)
- 役割
- 年代別(初期モップトップ、中期、後期など)の髪型や、ヒゲパーツを格納します。
- 運用ポイン
- 髪の毛も服と同様に「根元=リグ追従、先端=軽量クロス」の設定を施しておきます。髪型とヒゲの表示/非表示を切り替えるだけで、同じ顔ベースでも年代(初期〜後期)の変化を簡単に演出できます。
🎸 [04_Instruments] (楽器アセット系)
- 役割
- 演奏アクション(200本量産の要)に欠かせない、各メンバーの演奏楽器を格納します。
- 運用ポイント
- 楽器を手のボーン(
c_hand_ik等)にコンストレイント(Child Of等)で固定しておくことで、演奏アクション(モーションデータ)を適用した瞬間に、手元と楽器の位置関係が自動的にピッタリ合体するようにしておきます。
- 楽器を手のボーン(
📦 [99_Backup_Hidden] (バックアップ・データ保管用)
- 役割: 普段のレンダリングやアニメーション作業では非表示にしておく「元データ」置き場です。
- 運用ポイント: 追加で新しい服をTRIPOから持ってきた際、ここにある
Body_Weight_Masterからウェイトを転送したり、TRIPOの修正前メッシュを保持しておきます。

コメント