アナと雪の女王
忘れた頃に
宣伝係が有能でなんでもかんでも「良作」にするということこそが昔からディズニーの真骨頂。かつては作品の質がそれに見合うものだったので看過されてきたもののここ20年くらいはほんとに酷い。観客もだんだんそれに気付いてきたのか、なんでもかんでも「ディズニーだから」という風潮ではなくなってきたような気がする。
そんな中でこの「アナと雪の女王」の評判はすごかった。
公開前はいつもの通りだが公開されてからも賞賛の声が多く聞かれた…らしい。
身の周りにはいなかったけどね。
で、そんなにいいなら観てみようじゃないかと術中にハマりかけたものの、息子が頑なに「観たくない」と拒絶するので結局劇場では観なかった。
忘れかけていた頃、知人がBDを貸してくれた。
せっかくだから観てみようか。
でも息子は相変わらず「観たくない」なので、ひとりでテレビの前に座った。
また3D CGか
もうディズニーは絵を描かないのだろうか。
いや、平面アニメも今やCGだけど、やっぱり「ディズニー映画」なら「アニメーション」で「動く絵」が見たい。
アタマの古い人間だから。
時代がそういう流れならもう仕方ないのかもしれない。
でもアナとエルサの目はデカすぎだと思う。
良質なエレメントだった。が…
エルサが抱え続けた孤独、恐怖。
姉を救おうとするアナの葛藤。
そしてふたりが持っているお互いへの愛情と嫉妬と憎悪。
エレメントはたくさんあった。
素材は良かった。物語の骨子も枝葉も素養があった。
でもそれをきちんと表現しきれていない感じだった。
セリフを詰め込み、展開が忙しい。
それでも画面がごちゃごちゃしないようにあれこれ端折る。
結果、できあがったものはペラペラだった。
子供用の映画だから時間を短しなくちゃならない。
だからどうしても詰め込み気味になってしまう。
そんなのは言い訳だ。
詰め込みきれないなら素材にしなければいい。
料理できない素材を持ってきて無理矢理作る料理人はプロではないし、それで人からお金を取ってはいけないのだ。
ひとつだけ
とまぁ全体的にちょっとネガティブな印象だったが、しかしひとつだけ強烈に感銘を受けたことがある。
アナ役の神田沙也加。
彼女はすごく上手だった。たいしたもんだ。